秋田県潟上市で17日未明、男女が相次いでクマとみられる動物に襲われた。県警地域課によると、今年のクマによる人身被害は2人を含め5件5人(昨年同期は6件7人)。近年は県内で死亡や重傷につながる事案も続発し、警察などは警戒を強めている。
五城目署によると、午前3時ごろ、潟上市昭和乱橋で、新聞配達中の男性(75)が車から降りて歩いていたところ、正面からクマのような動物に襲われ、右肩や右耳、背中に切り傷を負った。
同じころ、男性が襲われた現場から北東に約250メートルほどの市道で、散歩をしていた女性(84)も背後から襲われ、腕にかまれたような傷を負った。
2人は病院に運ばれたが命に別条はなく、治療を終え帰宅したという。署は同じクマに襲われたとみて、市などと近くを警戒している。
現場は秋田道の昭和男鹿半島ICの近くで、民家が点在し、道路や川が近くにあり水田が広がる。
現地を調査した県ツキノワグマ被害対策支援センターの近藤麻実主任によると、現場から1キロほど離れた元木山では、過去にクマの目撃情報がある。今回のクマとみられる動物が移動した経路は分かっていないが、「エサを探して水田や川を移動しているうちに、民家付近に来て、人と遭遇した可能性もある」と話している。
今年の県内のクマの目撃情報の件数はこれまでは例年並みという。
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新聞販売所従業員の男性は17日午前3時前、潟上市昭和乱橋の配達先の民家の敷地内でクマとみられる動物に襲われた。
配達の車を車道に停車。玄関の新聞入れに向かってあと数歩の所で、正面から倒された。真っ暗で相手が何かわからないが、ものすごい力だった。「相手の目も見えなかった。クマと思わず、人間に襲われた、殺されると思った」
30秒ほど必死に抵抗するうち、ふと軽くなり、相手は去っていったという。
車に戻り、アルバイト先の潟上市内の新聞販売店の所長(66)に「何かに倒された」と一報。数分後、「痛みが出てきた」と連絡した。帰宅後、救急車で病院に運ばれたが、その日のうちに帰宅できた。「クマがよく出る地域なので普段から気を付けていたが、突然のことだった。けががこの程度で済んで本当によかった」
新聞販売店は、18日からこの付近の配達時間を遅らせ、暗いなかでのクマとの遭遇を避ける対策を取る。(井上怜、松村北斗)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル