ツキノワグマに襲われ、救命救急センターで治療を受けた人のおよそ9割が顔面にケガを負っていることが、朝日新聞の集計でわかった。治療に携わる医師はクマによる外傷について、「ナイフよりも鈍器に近い性質で、組織をえぐりとる」と話す。
眼球摘出に至るケースもあり、命が助かっても顔に傷や後遺症が残るリスクがあるという。
今年は全国でクマによる被害が相次いでいる。環境省が今月1日に公表したクマの人的被害状況(速報値)によると、今年は10月末までに全国で180人が被害にあった。記録の残る2006年以降で過去最多となっている。
180人のうち5人が亡くなっているが、このうち4人はツキノワグマによる被害だった。
被害の増加には、クマのエサになるブナなどのドングリが不作であることや、クマの生息域が広がっていることなどが要因にあるとみられている。
日本には北海道のみに生息するヒグマと、本州や四国にすむツキノワグマの2種類のクマがいる。ヒグマに比べ小さいツキノワグマでも、大人になれば体重は100キロを超える。
クマは人を襲うとき執拗(しつよう)に顔を狙う習性があると言われている。
朝日新聞はクマ外傷について報告し、誰もが読めるオープンアクセスとなっている11年以降の論文について調査。顔面の受傷にしぼって取り上げた論文や、患者の抽出範囲が明確ではない論文などを除き、岩手医科大と高山赤十字病院(岐阜)の2本の論文を用いて集計した。
岩手医科大は11~16年に…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル