クマ襲撃、条件は早朝・栗(エサ)・川沿い…現場を歩く

 全国各地でクマによる被害が相次いでいる。新潟県内でも、19年ぶりの死亡事故が起きるなど、県は最大級の警戒を呼びかけている。それでも、クマの被害に遭うケースは後を絶たない。クマの被害を最小限にするためにどんなことができるのか。(小川聡仁)

 1日午前9時半ごろ、関川村下関で、男性(63)が自宅近くの田んぼで刈った稲を束にする作業をしていた時だった。ふと顔を上げると、目の前に体長1メートルほどのクマがいた。歯は白くとがり、ギラギラとした目が殺気を放っていた。「背中を向けると襲われる」。とっさに3秒ほど見つめると、クマが突然頭にかみついてきた。反射的に首を両手で覆い、地面にうずくまり大声で叫んだ。すると、クマは山へ逃げていった。

 男性は頭から血を流しながら、近所の民家に助けを求め、ドクターヘリで新潟市内の病院に搬送された。頭部を20針以上縫い、鼻も骨折していた。

拡大する田んぼで作業中にクマに襲われた男性。頭には傷あとが残っていた=2020年10月15日午後4時37分、関川村、小川聡仁撮影

 山沿いではなく、村役場や小学校がある市街地近くでクマを見たのは初めてという。「まさか田んぼで襲われるとは。突然でどうしようもなかった。本当に命の危険を感じた」と男性は振り返った。

 県によると、今年度、県内では27日までに14人がクマに襲われけがをした被害があった。統計を始めた1994年以降で最多だった昨年度に匹敵するペース。2001年以来となる死亡事故も発生。こうした事態を受け、県は「クマ出没特別警報」を発令し、市町村に対しクマ捕獲の強化や住民への注意喚起をするよう呼びかける。

 新潟大学農学部の箕口秀夫教授(森林生態学)は、クマの出没が相次ぐ理由について「クマの生息域が人里近くにまで広がっている」と指摘。木の実も凶作で、エサを求めて広範囲を移動しているとみる。また人里近くで育ち、人の生活圏に入ることを怖がらない「新世代クマ」と言える個体も出てきているという。

早朝、栗、河原…「防ぎ得た事故です」

 クマに襲われる場所にはどんな特徴があるのか。専門家と現場を歩いた。

 「若干幅が狭いけど、小柄なク…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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