ケンカをしても思いは一つ 拾た命ばい、故郷を治すぞ

 「設計通りの高さだろうな」「当たり前だろ。誰が造ったと思ってる!」

 緊張感が漂うなかにも、冗談交じりのやりとりが続く。熊本地震で建物の56%が全半壊した熊本県西原村。地震から4年近く経った今年3月、その中心地・布田地区で地元出身の内村勝紀さん(50)が部下と4カ月かけて町発注の水路の復旧工事を完成させた。それを吉井誠・村復興建設課長(50)がチェックしていた。

 復興事業でタッグを組む2人の付き合いは保育園以来45年にもなる。高校卒業後、一緒に上京し、内村さんはギター片手に音楽、吉井さんは絵画の道を目指したが、夢破れUターン。内村さんは建設会社、吉井さんは村建設課の職員として再出発した。2人で徹夜で勉強して、建設関係の試験に合格したこともある。

「本当につらい時は涙も出らん」

 2016年4月16日未明の本震で、内村さん宅はつぶれ、一家6人が建物の下敷きになった。内村さんはかすり傷ひとつしなかった。「命拾たばい」

 内村さんは暗闇で家族を捜した…


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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