厚生労働省は28日、新型コロナウイルスの流行が拡大した場合の1日の新規感染者数や療養が必要な人数の最大想定を公表した。ただ、6月以降の「第2波」では大阪や沖縄など9府県で新規感染者数がすでに最大想定を上回っている。
厚労省が示した3~5月の国内の「第1波」の流行を踏まえた推計モデルを使って、各都道府県がピーク時の感染者数を推計した。感染状況に応じて、段階的に必要な病床や宿泊施設を確保する計画もまとめた。
各都道府県のピーク時の1日当たりの新規感染者数の合計は2788人。これまで全国の新規感染者数が最も多かったのは、8月7日の1602人(空港検疫を除く)で、最大想定の合計を下回る。ただ、都道府県ごとにみると、大阪府では最大想定を96人上回った日があるほか、島根県では最大想定の5倍以上、沖縄県は4倍以上がすでに確認されている。
また、ピーク時に療養が必要なのは合計3万6556人だった。入院患者数は2万780人で、うち2928人が重症患者だと推計された。
沖縄県ではピーク時に425人の療養が必要と想定されたが、厚労省が週1回発表する療養状況の集計で、療養者数が最も多くなった8月12日時点だと、沖縄県の療養者は937人と大幅に上回った。厚労省の担当者は「計画を上回る場合は実際の感染状況に合わせて各都道府県が対応していく」としている。
今回の推計は緊急事態宣言下の外出自粛のような市民への強い協力要請が前提だが、「第2波」では、一部の自治体の独自の取り組みにとどまった。推計の前提と実際が異なることについて、厚労省の担当者は「一定の仮定で計画を立てフレキシブル(柔軟)に対応することが大切。事前のシミュレーションという意味で十分意味がある」と話す。(姫野直行、合田禄)
新規感染者と療養者の最大想定
(最大想定と8月12日時点の療養者数は厚生労働省発表。「これまでの最大」は都道府県の発表を集計、都道府県別や全国のピークの日はそれぞれ異なる)
新規感染者数 療養者数
最大想定 これまでの最大 最大想定 8月12日時点
北海道 96 45 1241 153
青森県 23 5 305 2
岩手県 30 6 379 6
宮城県 52 14 669 19
秋田県 19 14 243 19
山形県 20 6 258 1
福島県 38 9 500 11
茨城県 52 18 670 94
栃木県 40 17 517 59
群馬県 35 35 453 55
埼玉県 170 84 2215 575
千葉県 145 76 1891 614
東京都 477 472 6435 3696
神奈川県 167 136 2192 566
新潟県 40 8 528 12
富山県 24 19 318 41
石川県 26 22 334 72
福井県 18 13 230 18
山梨県 19 10 246 31
長野県 37 11 485 39
岐阜県 35 30 466 135
静岡県 66 30 862 84
愛知県 136 193 1778 1746
三重県 32 24 417 126
滋賀県 51 31 670 128
京都府 52 41 671 187
大阪府 159 255 2088 1641
兵庫県 98 62 1294 276
奈良県 35 37 500 79
和歌山県 29 13 373 18
鳥取県 31 4 393 15
島根県 16 92 208 103
岡山県 34 10 430 25
広島県 64 26 829 93
山口県 33 15 421 25
徳島県 18 12 227 45
香川県 17 11 227 13
愛媛県 25 17 322 14
高知県 17 14 219 3
福岡県 116 169 1509 1280
佐賀県 18 12 243 71
長崎県 32 23 409 78
熊本県 32 42 409 195
大分県 27 10 348 29
宮崎県 25 30 329 100
鹿児島県 29 34 380 33
沖縄県 33 158 425 937
全国 2788 1602 36556 13562
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル