美祢市の秋吉台にある唯一のホテル「秋芳ロイヤルホテル秋芳館」を経営する秋芳観光ホテル秋芳館は30日、同日付で廃業し、近く山口地裁に破産手続きの申し立てをすると発表した。負債総額は2億3千万円の見込み。新型コロナウイルスの影響で宿泊のキャンセルが相次いだという。
同ホテルは全43室。正社員10人とアルバイト30人は30日付で解雇された。
記者会見した斉藤秀一郎社長と代理人弁護士によると、4月の売り上げは例年の1割以下に落ち込んでいた。神戸市のリゾートホテル経営会社と事業譲渡の交渉をしていたが4月中旬に破談となり、廃業を決めたという。「県や市の観光にも影響が出る」として、ホテル事業の継承先を募集する意向を示した。
同社は1952年に法人化。ホテルは93年にリニューアルされ、ピーク時の96年3月期には年間売上高8億5千万円を計上した。しかし、秋芳洞の観光客や修学旅行生が減って収入減が続き、2013年に民事再生法の適用を地裁に申請。同年、再生計画案が認可されていた。
帝国データバンク山口支店などによると、コロナ関連倒産は萩市のホテル経営会社に続き、県内2件目。篠田洋司・美祢市長は「社員の生活・雇用支援などを進めていく。施設を受け継ぐ事業者が進出するよう、観光地の再生に向け施策を展開していく」との談話を出した。(高橋豪)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル