多くの人が自宅で過ごした年末年始。東京都内の公園では、寒空の下、新型コロナ下で職や住まいすら失った人の相談にのる「年越し支援・コロナ被害相談村」が開かれていました。3日間で訪れた相談者は、計337人。その模様を密着取材した取材班に、ギリギリの状態で駆け込んできた人たちが語った苦境とは――。
拡大する
■1日目
世間が仕事納めを迎えた翌日、12月29日の午前9時ごろ。防寒具に身を包んだスタッフ数十人が、新宿区立大久保公園に集まってきた。今回の「相談村」を企画したのは、2008年のリーマン・ショックで派遣切りにあった人らのために、直後の年末年始に「年越し派遣村」を手がけた弁護士や労働組合などの関係者だ。検温や手指の消毒を済ませたあと、テントを設営し、相談マニュアルを確認した。
寮を追い出され、ネットカフェ暮らしに
午前10時ごろ、相談の受け付けが始まると、ほどなく一人の男性が相談に訪れた。40代で、公園の近くのネットカフェで寝泊まりをしており、偶然目にしたチラシで相談村のことを知ったという。今の所持金は「98円」だと打ち明けた。
拡大する
関東地方の建築会社で正社員として働いていた。新型コロナで仕事が減り、昨年5月は1カ月間、休業に。それなのに会社は、男性が労働基準監督署に相談するまで、法定の休業手当を払わなかった。その後、「これ以上いても仕事もない」と、暗に会社を出て行くように促されて退職。寮も追い出された。
日雇いのアルバイトをしながら、ネットカフェを転々とする生活に。ネットカフェ代は1日約2千円で、月6万円近くになった。食事代や携帯電話代などを払えば、月12万円ほどのアルバイト代はほとんど残らなかった。
男性は相談村の相談員から、公園の隣のビルにある、住まいを失った人を支援するための東京都の相談窓口「TOKYOチャレンジネット」を紹介された。窓口を訪ねて手続きを終え、住まいのない人が年を越せるように都が確保したビジネスホテルに約2週間、泊まれることになった。「ネットカフェ生活から抜け出せるきっかけにしたい」。そう男性は語った。
拡大する
月収7万円、怖いのは「休校」
山口市から私用で上京していた女性(40)は、公園でテントを設営する様子をたまたま見かけて、相談に立ち寄った。一人親で、小学1年生の娘(7)を育てる。地元のスーパーでパートとして働くが、子どもの世話もあるため、1日4時間・週5日の勤務が精いっぱい。月収は7万円ほどで、受給する児童扶養手当などを加えても生活は苦しい。
更に心配なのは、感染拡大が止…
【1/25まで】デジタルコース(月額3,800円)が今なら2カ月間無料!詳しくはこちら
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
Leave a Comment