IDAHOBIT(アイダホビット)という言葉を知っていますか。LGBTQなど性的マイノリティーの人たちの権利を高める国際的な記念日のことで、毎年5月17日がその日に当たります。今年はその直後の19日から広島で主要7カ国首脳会議(G7)が開かれます。議長国を務める日本は、G7の中で唯一、同性カップルに対して国として法的な権利を与えず、LGBTQに関する差別禁止規定や法律がありません。日本は外からどう見えているのか。何から変えていくべきか。大阪にある常設のLGBTQセンター「プライドセンター大阪」を運営する村木真紀さんと、在京都フランス総領事のジュール・イルマンさんが対談しました。(聞き手、構成=編集委員・石合力)
IDAHOBIT 同性愛者、トランスジェンダー、両性愛者など性的マイノリティーに対する差別や不寛容、否定的な態度、言動、嫌悪をなくすために定められた記念日。「国際反ホモフォビア・トランスフォビア・バイフォビアの日」の英語の文字を並べたもの(International Day Against Homophobia,Transphobia,and Biphobia)。1990年5月17日に世界保健機関(WHO)が同性愛を精神障害から除外したことから始まった。当初は「国際反ホモフォビアの日」(IDAHO)として始まった。このため、日本では「アイダホの日」とも呼ばれる。
――「プライドセンター大阪」は、LGBTQの人たちが集まり、相談できる常設の場所として昨年4月に発足しました。なぜつくろうと思ったのですか。
村木 2019年にオーストリアに視察に行ったことがきっかけです。ウィーン市内には、LGBTQの若者、観光客向けの施設のほか、資料館や難民支援の施設もあった。ウィーン市(人口約190万人)は、大阪市(同約275万人)とほぼ同じ都市規模。だったら大阪にあってもいいんじゃないかと思ったのです。
――ウィーンのセンターは公営ですか?
村木 運営形態はそれぞれ違いますが、難民支援以外の施設には政府の支援が入っていました。ウィーンは地価が高いのですが、政府が所有している建物を安い値段や無償で貸してくれる。何度か米国に視察に行ったときにも多くのセンターを見てきました。日本でもどこかにLGBTQの人たちが集まれる場所が必要だなと。ただ、そう言っている間に新型コロナウイルス感染が広がってしまった。
LGBTQ Lesbian(レズビアン、女性同性愛者)、Gay(ゲイ、男性同性愛者)、Bisexual(バイセクシュアル、両性愛者)、Transgender(トランスジェンダー、性自認が出生時に割り当てられた性別とは異なる人)、QueerやQuestioning(クイアやクエスチョニング。自らの性のあり方について、特定の枠に属さない人、わからない人などを表す)の頭文字をとった言葉。性的マイノリティーを表す総称としては、LGBT、LGBTQのほか、自分自身の性自認が無性、中性のXジェンダー、定期的に入れ替わったりする性自認や非性愛者(ノンセクシュアル)らを含めて、LGBT+(プラス)、LGBTQ+なども使われることがある。
――コロナ禍は、LGBTQの人たちにとってどのような影響がありましたか。
村木 LGBTQの人たちに…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル