日本脳卒中学会は5日、新型コロナウイルス感染症による脳卒中患者への影響についてまとめた。昨年12月14日時点で、全国の13施設が患者の受け入れを停止し、118施設が救急搬送の一部を受けられないなどの診療制限に至っていた。
感染者は首都圏を中心に年末年始も増え、病院職員の感染も発覚している。さらに状況は悪化していると学会の担当者はみている。
脳卒中の患者を診ている学会認定の全国974施設にメールで聞いた。73%の714施設が回答した。
入院・外来の脳卒中患者を受けられなかった13施設を地域別でみると、近畿が7施設と最も多かった。クラスター(感染者集団)が起きた施設が大半という。
停止も含めて診療制限せざるをえなくなったと回答したのは、回答施設全体の18%にあたる計131施設。発熱や呼吸器症状があると対応できない▽抗原検査などで新型コロナ陰性が確認されないと脳卒中の検査に進めない▽脳卒中患者向けのベッドを新型コロナ患者用に転用した――ことなどが主な理由という。
学会理事の平野照之・杏林大教授は「感染防御を徹底して、通常診療ができるよう努めてきたが、これ以上新型コロナ患者が増えると、脳卒中を含めた他の病気への対応ができず、救える命が救えなくなる。感染すると血栓ができることがあり、脳卒中の引き金になりうる。手洗いやマスクなどの対策は脳卒中を防ぐことにもつながるので、徹底してほしい」と話す。(編集委員・辻外記子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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