新型コロナウイルス感染拡大の影響で、多くの人が「ステイホーム」の時間が長くなる中で、北九州市で火災が増加している。同市の火災発生件数は433件あった2000年以降を見ると減少傾向で昨年は230件と1963年の同市発足以来最少だった。ところが今年は10月20日までに計202件に達し、前年同期比で32件増えている。自宅で調理する機会が増えた人が多いからか、こんろが原因の火災が目立つ。火災が起きやすい季節を前に市消防局は火の取り扱いに注意を呼び掛けている。 【写真で解説】ハンカチ1枚で出来る布マスクの作り方 市消防局によると今年9月に市内の木造2階建て民家が全焼した火災は、ガスこんろの火が近くにあった容器に燃え移ったのが原因とみられる。今年はこのような火災が相次いでおり、住人がコンロに火を付けたまま、その場を離れることで火が燃え広がるケースもあるという。
10月20日までの火災202件のうち、こんろが原因の火災は27件で前年同期比で11件の増加。毎月1~4件のペースで発生している。市消防局は「コロナの感染拡大を受けて自宅で過ごす人が多く調理の機会が増えたことが、火災増加の理由として考えられる」と推察する。 こうした現象は各地で起きている。東京都内では4~5月に、ガスこんろが原因の住宅火災が80件発生。過去5年(2015~19年)の平均より約3割多かった。東京消防庁は7月末、普段こんろを使用しない人が料理をしたり、オンライン飲み会に参加して火を消し忘れたりした可能性があるとみて注意喚起した。
◇ ◇ 北九州市で今年起きたこんろ原因火災27件のうち、約4割の11件は天ぷら油の火災だ。 08年以降、ガスこんろには鍋の油の温度が250度を超えると自動的にガスを止める「過熱防止装置」と、火が消えた時にガスを遮断する「立ち消え安全装置」の設置が義務づけられている。ただ、それ以前の製品には装置が付いていないものがあるほか、カセットこんろは対象ではなく、注意が必要だ。 「天ぷら油火災」は対処法を間違えると大惨事につながる。市消防局が3月に実施した実験では、鍋に油を入れて約380度まで加熱すると発火し、少量の水をかけたら一気に天井まで炎が上がった。水が一瞬で水蒸気となり、周りに高温の油をまき散らして火が付くためだ。
天ぷら油火災への適切な対処法としては、ぬらして絞ったバスタオルで鍋を覆う▽鍋をふたで閉じる▽消火スプレーをかける-などがある。しっかりと身に付けておきたい。 市消防局予防課の入江隆明消防司令補は「市民の多くは今後もコロナ禍で自宅で過ごす時間が長い状況が続くだろう。これからの季節は暖房器具の使い方にも十分気を付けてほしい」と防火意識を高めるよう訴えている。 (笠原和香子)
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