村上友里
新型コロナウイルス対策の持続化給付金をめぐり、要件を満たすのに不支給の決定を受けたとして、全国の個人事業主や中小企業の89事業者が15日、国に決定取り消しや不支給となった給付額相当の計約9千万円の損害賠償を求める訴えを、東京地裁に起こした。
持続化給付金は、事業に継続性があり、前年同月比で売り上げが半減した場合に支給される。訴状によると、原告は昨年9月以降、税理士を通じて確定申告書などの必要書類を提出したが、理由も明かされないまま不支給となったという。
原告「お金より不公平さ訴えたい」
申請手続きの中では、振り込みが分かる通帳の写しなどの追加提出を求められたが、収入を現金で受け取っている事業者は用意できなかった。原告側は「追加資料は本来必要ない。要件を満たすのに不支給決定をしたのは法の適用を誤っており違法」と訴えている。
原告側は、給付金事業の事務局が同月に交代したのを機に不支給決定が急増したとも指摘。それまでは原告と同じ取引先から収入を得ている事業者が支給決定を受けた場合もあるといい、法の下の平等を定めた憲法14条に違反すると主張している。
原告の一人で提訴後に会見した飲食店経営の山田晃靖さん(36)=愛知県=は100万円を申請したが、認められなかった。山田さんは「必要な書類をそろえたのにどうして不支給なのか理由も分からない。お金よりも不公平さを訴えたい」と強調。「国の要請に従って真面目に営業を自粛し、売り上げは赤字になった。国にはきちんと補塡(ほてん)してほしい」と求めた。弁護団は「不正受給は許されないが、支給されるべき人が支給されないのはより許されない」と語った。
中小企業庁は「訴状が届いていないのでコメントは控える」とした。(村上友里)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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