政府が新型コロナウイルス対策を検討する専門家会議の議事録を作成していないことが分かった。議事概要の公表にとどめている。政府は新型コロナの感染拡大を「歴史的緊急事態」に指定し、公文書管理を徹底する方針を示しているが、首相や閣僚が出席する連絡会議も議事録はなく、専門家は「検証の妨げになる」と批判している。
専門家会議は、政府が感染症の専門家らに医学的な観点から助言をもらうため2月に設置した。保健所への相談の目安や接触機会8割削減を提言するなど重要な役割を果たしている。これまで非公開で15回開催。6回目まで、主な発言を匿名で箇条書きした議事概要をネットで公開している。
政府は3月10日、新型コロナ感染症について、将来の教訓として公文書の管理を徹底する「歴史的緊急事態」に指定した。公文書管理のガイドライン(指針)に基づき、政策決定や了解を行う会議の日時や出席者、議題、発言者と発言内容などを記した議事録を作成するよう義務付けている。
これに対し、菅義偉官房長官は29日の記者会見で「専門家会議は、政策の決定や了解を行わない会議に該当する」と説明。「自由かつ率直に議論をいただくため発言者が特定されない形で議事概要を作成している。発言者を明記しないことは第1回会議で、了解をいただいた」と強調した。
公開求める発言あった
歴史的緊急事態は、自民党が2011年の東日本大震災の際、議事録を作っていなかった民主党政権を「国民への背信行為」と激しく批判し、公文書管理のガイドラインに盛り込まれた経緯がある。立憲民主党の枝野幸男代表は党の会合で「9年前の指摘をそっくりお返しをしたい」と批判。専門家会議の尾身茂副座長は29日の記者会見で、同日の会合の中で議事録の公開について「しっかりとしたスタンスを検討してほしい」と政府に求める発言があったことを明らかにした。
政府は、新型コロナ対応の実質的な意思決定をしている連絡会議も同様の理由で議事録を作らず、議事概要の作成にとどめている。首相が突如打ち出した一斉休校要請などはこの会議で固まったとされるが、政府高官は「作戦会議なんだから具体的な内容を出せるわけがない」と反論する。
安倍政権では森友学園を巡る決裁文書改ざんや桜を見る会などずさんな公文書管理が問題視されてきた。NPO法人情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は「専門家会議はガイドラインで定める『懇談会等』に該当し、歴史的緊急事態かどうかに関係なく議事録の作成を義務づけられている」と指摘。連絡会議についても「政治責任を検証するため、具体的に記録に残すべきだ」と話す。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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