コロナ患者を処置したガーゼや注射針、防護服着て焼却

 新型コロナウイルスの陽性患者や、その処置にあたった医療従事者らが使用した、注射針やガーゼ、防護服……。東京都内にある医療廃棄物の回収処分業者は、2月以降、こうしたごみの処理を続けている。

 処理の際は、全作業員が防護服を着用する。医療機関で梱包(こんぽう)された廃棄物が専用の保冷車で工場に到着すると、敷地内の屋外で消毒作業を行う。さらに粘着テープで封をした後、屋内に搬入する。ベルトコンベヤーで焼却炉まで運ばれ、その日のうちに千度近い高温で処分される。排出ガスは特殊フィルターを通して無害化処理が行われているという。

 最初は、ダイヤモンド・プリンセス号で感染者対応にあたる公的機関からの依頼だった。その後は連日、陽性患者を受け入れている都内の病院などで、ウイルスが付着した廃棄物を回収、処分している。

 感染性産業廃棄物の処理については、東京都から許可を受け、2009年に新型インフルエンザが流行した際も対応にあたってきた。だが社長(66)は「これまでとは緊張感が違う。医療機関には無症状患者もいるため、すべてにコロナが含まれていると思って対処する必要がある」と話す。

 ゴーグルと防護服を身に着けた屋外での作業は、この時期でも汗が噴き出す。新規感染者数が落ちついても、陽性患者のいる限り、ウイルスに汚染されたごみは出続ける。「従業員の疲労もたまっている。熱中症にならないよう、今後は更に健康管理に注意する必要がある」と気を引き締める。(川村直子)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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