耕論 コロナ時代の山登り
山をめぐる環境が様変わりしている。感染対策に気を使い、登山道維持のため協力金を求める動きも出てきた。11日は「山の日」。コロナ時代の登山文化や楽しみ方を考えてみたい。
国際山岳医の大城和恵さんは、医療現場の負荷にならない登山を提案します。北アルプス山小屋友交会会長の山田直さんは、山小屋が抱えてきた課題を指摘。俳優の石丸謙二郎さんは50歳近くで再開した登山の魅力を語ります。
登山そのもののリスクに加えて感染対策を 国際山岳医・大城和恵さん
登山は、心身のストレスを解消し、健康増進にもつながります。私も先月下旬、新型コロナの感染対策を徹底しながら、久しぶりに北アルプスに登ってきました。
一般的に登山中に感染することは考えにくく、混雑していなければマスクは必要ありません。すれ違いなどで「密」になる場合には、日本てぬぐいをザックのベルトにしばっておいて、それで口を覆うようにしています。
注意が必要なのは、行き帰りの交通機関や山小屋、食堂など屋内で人が集まるところです。不織布マスクで鼻、あご、ほおを隠し、隙間がないように着けます。消毒用のジェル、使ったティッシュやマスクを入れる密閉式の袋も持っていく必要があります。
新型コロナは飛沫(ひまつ)やエアロゾルで感染することが分かってきました。登山前の検温で平熱でも、ウイルスに感染していて山に持ち込む可能性はあります。
食事のときは、黙食を徹底しましょう。食事中の会話や、歯磨きなど、うっかりやってしまいがちな行動については、山小屋や食堂のスタッフの方が、具体的に説明して行動の変化を促していただければと思います。
換気も大事です。今回、山小屋に泊まった私は、窓を開けて回りました。また、感染者が使った寝具でウイルスが多く検出された報告があったことから、持参したシュラフ(寝袋)カバーをかぶって布団の中で寝ました。
「登山を自粛すべきか」「山…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル