新型コロナウイルスの影響でお金の悩みが増えるなか、ネット上などで広がる資金提供策「給料ファクタリング」に要注意だ。「給料の前払い」「ブラックでもOK!」などと手軽さをうたうが、多額の手数料をとられたり、違法な取り立てにあったりする被害が目立つ。「生活が破綻(はたん)する恐れがある」として、金融庁も警戒を呼びかけ始めた。(笠井哲也、新屋絵理)
闇金被害などの相談に応じる「しもひがし法務司法書士事務所」(東京都)では3月以降、給料ファクタリングの相談が急増した。1~2月の月50件ほどが、3月は112件に膨らんだ。
「十数社取引してしまい、給料の額以上になった」「取り立てが闇金のようで怖い」などの声があり、新型コロナの影響で収入が不安定になって使う人が増えたという。下東洋介司法書士は「利用してはいけないと思いつつ、選択肢が他にない人もいる」とみる。事務所で確認している業者は現在60社超にのぼるという。
3月30日~4月3日にあった東京の弁護士による給料ファクタリングの被害相談には、全国から40件超の電話があった。「新型コロナの影響で残業手当などが減り、(お金を)返せなくなった」など感染拡大の影響を訴える人も。釜井英法弁護士は「給料ファクタリングは闇金並みの『利息』を払うことを頭に入れてほしい。借金があって苦しければ弁護士に相談してほしい。国の貸付制度もある」と訴える。
年利換算 利息1840%超
ファクタリングのルールを直接定めた法令はなく、法的な位置づけがあいまいだ。昨年ごろから広がる資金提供手法で、業者は「合法」との立場。貸金業法などの規定の上限利息を超す「手数料」をとっている。
全国の消費生活センターには昨年以降、相談が相次ぐ。「5万円借りる申し込みをして口座に2万4千円振り込まれた。差額は手数料と言われた。信用できる業者か」(50代男性)、「7万円受け取って半月後に12万円振り込んだ。会社や家族に知らされ、困った」(40代男性)などの声だ。
トラブルから訴訟になるケースもある。この問題で関係者から注目された判決が、東京地裁(男沢聡子裁判長)で3月24日に出た。「給料ファクタリングの仕組みは、『貸し付け』に該当する」との司法判断だ。
東京都内の業者が、利用者に未…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル