長引くコロナ禍の生活になじめず、「孤独」と向き合い続ける若者たちが数多くいます。人生で最も楽しいはずのキャンパスライフが一変した大学生たち。大学構内の立ち入りが制限され、オンライン授業が定着するなか、感染を拡大させてはいけないと部屋に閉じこもる。人恋しさのあまり、学ぶ意欲を失う人も少なくありません。「居場所が欲しいだけなのに」「死にたい」――。そこまで追い詰められた、ある女子学生の声に耳を傾けました。(GLOBE編集部・太田航)
部屋に「閉じ込められる」感覚
「また去年と同じような気持ちになるんだろうか」。4月に首都圏の私立大学3年生になった女性(20)は、ため息をついた。コロナ禍で対面授業がほとんどなかったこの1年。向き合ったのは「孤独」だった。
女性は大学のキャンパスに近いワンルームで一人暮らし。授業のある平日は夜まで友達と図書館に残って勉強し、週末は自宅で好きな料理をしたり、買い物に出かけたりして自由な1人の時間を過ごす。そんなお気に入りだった環境が、コロナ禍で一変した。昨年4月、首都圏への緊急事態宣言の発令で、大学は入構禁止になり、授業もオンラインに。煩雑なことにも慣れて、物珍しさが落ち着いた6月ごろ、ふと違和感を覚え始めた。
受講していたのは週15コマ。授業の録画を都合に合わせて見られるオンデマンド形式だったが、毎回課題の提出を求められ、余裕がなくなっていった。
毎日同じ部屋で1人、パソコンを開いて授業を受ける。食事をして寝る。そのくり返し。コロナ禍の前のように、席を並べて授業に出たり、昼食を食べたりする仲の良い友人らの姿はない。
コロナ禍で「孤独」が新たな社会問題になっています。英国に続き、日本政府も孤独担当相を置いて対策に乗り出しました。孤独との向き合い方を国内外で取材してきた記者が、その現状に迫ります。全4回の連載の初回です。
アルバイトなどで外出する予…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル