新型コロナウイルス感染拡大の影響で、自宅で過ごす時間が長くなり、ペットに癒やしを求めようと子犬や子猫などを飼い始める人が増えている。一方で、飼ってはみたものの、世話に負担を感じるなどして、わずか数日で飼育を放棄する例も起きている。保護団体は、安易に飼い始めることに注意を呼びかけている。
大阪府能勢町の犬猫保護施設「アニマルレスキューたんぽぽ」。田畑に囲まれた住宅街にある施設を訪ねると、部屋の隅の毛布の横に、茶色い猫がうずくまっていた。コロナ禍で派遣の仕事がなくなった50代の男性から引き取った4匹のうちの1匹だ。男性は収入が激減し、親の治療費も負担しなければならず、飼い猫にかけるお金も時間もなくなったという。
犬と猫を合わせて50匹あまり保護している同施設では、感染が拡大し始めた昨年2月ごろから、ペットを飼いたいという申し込みが急増した。家で過ごす時間が増えたためで、月に数件しか応募がなかったのが、毎日、数件の応募が来るようになった。人気の純血種や、子犬や子猫だけでなく、普段はもらい手がないような、雑種や成猫にまで応募があった。
だが、6月を過ぎた頃、状況は一変した。申し込みはぱったりとやみ、逆に、これまで飼っていたペットを引き取ってほしいという依頼が増え始めた。コロナ禍による経済苦で飼えなくなった人がほとんどで、大阪・ミナミでラウンジを経営する女性や、堺市で居酒屋を経営する男性など、いずれも店が立ちゆかず、えさ代が払えない状況だと訴え、引き取りを依頼した。
飼育希望の申し込みはないまま、収容スペースは10月にはいっぱいになった。代表の本田千晶さん(49)は、「これまでこんなことはなかった。コロナでつらい思いをしている人はたくさんいるが、最初に切られるのはペットたち。命のある動物たちなのだから、責任を持って飼い続けてほしい」と嘆く。
NPO法人みなしご救援隊犬猫譲渡センター東京支部(東京都世田谷区)でも、自宅で過ごす時間が増えたためにペットを購入したものの、「やっぱり飼うのは難しい」と、引き取りの希望が相次いでいる。ペットショップで購入した子犬たちで、それまで、数カ月に1匹のペースだったが、昨年4月の緊急事態宣言以降、週に2匹に増えた。どれも、コロナの感染拡大以降に購入された子犬だった。これまで、30匹以上を引き取った。
5月初旬に保護された生後3カ…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル