コロナ禍、苦しむ人々支えたい 僧侶が進める一石三鳥

 【山梨】シングルマザーにはほっとする時を、学びたい子どもには勉強を、仕事を失った学生にはアルバイトを――この三つを一度にかなえるプロジェクトを県内の僧侶たちが進めている。コロナ禍で厳しい暮らしを余儀なくされた人たちを支えようという試みだ。

 プロジェクトの名は「寺―CO―屋」。宗派を超えて作った一般社団法人「ソーシャルテンプル」が考え、実践している。

 7月4日の日曜日、県内のある寺に、小学生や母親たち、大学生ら15人ほどが集まった。子どもたちが勉強を教えてもらっている間、母親たちは仏の絵を描き写す「写仏」に専念する。子どもに教えているのは、コロナでバイトがなくなった大学生3人だ。

 寺―CO―屋は、普段は仕事と子育てで手いっぱいのシングルマザーに自分を磨く時間をとってもらい、同時に困っている大学生らを助けられないかと考えた。母親たちは座禅を組んだり写仏をしたりし、8月8日には蚊取り線香を作った。

 勉強が終わった夕方には、弁当を配る。弁当はレストラン「会館なないろカフェ」に発注。NPO法人「にじいろのわ」が運営する店で、こども食堂シングルマザーの支援をするが、コロナ禍で活動が厳しくなっており売り上げの足しにしてもらうという。

 弁当代や大学生のバイト代、母親たちへの講習などの講師へ支払う費用などは、ソーシャルテンプルに寄付された資金でまかなう。来年3月まで続ける予定だ。

 小学生に漢字を教えていた山梨大学の野村華那さん(22)は、コロナ禍で居酒屋のバイトを失った。今は寺で月2回、小学生に勉強を教え1日6千円を受けとる。「貴重な収入源で助かっている」と話す。10歳の少女は、「難しいところをよく教えてもらってうれしい。勉強するとおなかもすくし、一緒にご飯も食べられて楽しい」と話した。

 ソーシャルテンプルのメンバーで僧侶の山田哲岳さん(51)は「シングルマザーも、息抜きが必要。子どもと少し離れ、安堵(あんど)する時間を作って欲しい」と語った。平山亜理

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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