コロナ禍で休業指示 非正規は年休使わないといけない?

コロナ法律相談 回答:嶋崎量弁護士

新型コロナウイルスが影響を及ぼした「学びとお金」に関して、読者から寄せられた相談をもとに弁護士に聞きました。(聞き手・三島あずさ)

 Q 保育園で働くめいのケースです。(働いた日しか給料が発生しない)日給月給の非正規雇用です。園長から、登園する子が少ないので連休まで休むよう言われました。共働きで子育てしており、週4日は働きたいし、年休を使い切ったら困ると言っています。自分の都合でないのに年休で休むのは納得いきません。

 A 民間企業などで働く多くの人にも当てはまる、私立保育園であることを念頭にお答えします。

 労働基準法で付与された有給(年休)は労働者が自由に取ることができ、取る日を指定されても従わなくてよいものです。

 労働条件通知書や労働契約書があれば、内容を確認して下さい。そうした書類がない場合も、「週4日シフトに入って下さい」といった口頭での「約束」や、週4日勤務していた実績があれば、労働契約は成立しているといえます。すなわち、休むよう言われた一定期間の勤務(労働)に対する対価として、その時間の賃金全額を請求できます。

 非正規雇用とのことですが、ここではそれは問題になりません。「約束」があるかどうかが重要です。

 とはいえ、いざ請求しようとしても「立場が弱く、報復が怖い。契約を更新してもらえないのでは」といった不安があるでしょう。同じ立場の同僚と一緒に請求したり、直接専門家や労働組合に相談したりすることをお勧めします。1人でも入れる労組もあります。

 なお、公務員の場合は別の問題がありますので、専門家に相談して下さい。

    ◇

 しまさき・ちから 2007年弁護士登録。神奈川県弁護士会所属。日本労働弁護団常任幹事。ブラック企業などの労働問題に詳しい。

主な相談窓口

◆日本弁護士連合会無料相談(一般向け) 電話(0570・073・567)かホームページ(HP)で6月19日まで予約を受け付ける。電話は平日午前11時~午後3時、HPは24時間可能。アドレスはhttps://www.nichibenren.or.jp/news/year/2020/topic2.html。近隣の弁護士が数日以内に折り返し連絡し、相談にのる。初回は原則無料。

◆日弁連「中小企業のためのひまわりほっとダイヤル」 電話(0570・001・240)かHPで予約を受け付ける。電話は平日午前10時~正午、午後1~4時。HPは24時間可能で、アドレスは一般向けと同じ。地元の弁護士が順次折り返し連絡し、資金繰りなど事業者向けの法律相談に応じる。初回30分無料。

◆金融機関との取引などについての相談 金融庁 新型コロナウイルスに関する金融庁相談ダイヤル(0120・156811、平日午前10時~午後5時)

◆中小企業・小規模事業者・農林事業者の融資や返済についての相談 日本政策金融公庫 事業資金相談ダイヤル(0120・154・505、平日午前9時~午後5時)

◆日本司法書士会連合会「生活困りごと相談」 電話(0120・315199、平日午前11時~午後5時)もしくはウェブ面談(平日午後2~5時)で司法書士が無料相談に応じる。ウェブ面談はメール(sodan@nisshiren.jp)で事前予約が必要。前日午後4時までに氏名と希望日時を送り、確定の返信が届けば予約が完了する。当日に面談で使うURLがメールで送られてくる。1回約30分。

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 ※Q&Aの内容は、身近な法律問題について解決の参考となるよう、あくまで一つのケースを示したものです。個別の事情によっては、回答内容があてはまらないことがあります。


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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