コロナ禍の入院 孤立深める子ら せめてWiFiを  

 感染を防ぐために家族と会えず、移動も制限されて勉強もままならない入院中の子どもたちに、せめてWiFi(無線LAN)環境を――。新型コロナ流行下で小児病棟に入院した子どもや親から、そんな切実な声が上がっている。当事者団体のアンケートでは、通信で苦労する実態が明らかになった。

院内学級の遠隔授業、つながらない

 「小学生の息子は二つの病院で入院を経験しました。最初の病院はWiFiが使えず、院内学級が感染予防のためにZoomで授業をすることになったので皆さん困っていました。レンタルのルーター(機器)を使っても部屋によってつながらなかったり、急にフリーズしたり」

 関西の病院で白血病で治療を受けた男児の母親は、取材にそう話した。

 退院後を考えると授業はとても大切だった。暇で苦痛な日々に刺激も与えてくれて、院内学級の先生も工夫して対応してくれた。でも、病院の通信環境が悪いとすべてが台なしだった。授業のほか、つらい気持ちをオンラインゲームで和らげるひとときも、わが子には大事な時間だった。

 当初はモバイルルーターを使ったが、つながりづらかったので自宅からコンセント仕様のルーターを持ち込んだ。その分、家では通信量に制限のあるモバイルルーターしか使えず、父親やきょうだい児の通信環境が悪化して苦労したという。新たな通信の契約も考えたが、治療の費用がかかるので節約のためにあきらめてもらった。

 その後、一時的に転院した先…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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