新型コロナウイルスに感染して自宅での療養を余儀なくされている人を、薬剤師が支援する動きが広がっている。行政機関や医療機関と連携して処方薬を配達し、健康観察を担うことも。逼迫(ひっぱく)する地域の医療現場を支えている。
2月17日、東京都練馬区の「泉ライフ薬局」。「親子で感染。処方箋(せん)これから来ます」。近所のクリニックからの電話を受けると、薬剤師の会田一恵さん(52)は同僚の薬剤師にそう声をかけた。薬を選び、自宅療養者に電話して服用中の薬やアレルギーの有無を確認。療養者の自宅へ配達に向かった。
この薬局では、医療機関と連携して健康観察も担う。「せきはその後よくなりましたか」「薬が切れる頃ですが、大丈夫ですか」。自宅療養者に電話し、チェックシートに沿って聞き取ってメモをとる。シートは自宅療養者のかかりつけ医へファクスで送り、容体や再診を希望するかなどを共有する。この日は3件だったが、多いときは10件を超えるという。
第5波の教訓で連携
練馬区では昨年9月から、こうした役割を区内の約200の薬局が担う。昨夏の「第5波」で自宅療養者の状況把握が追いつかなかったことがきっかけで、区と区医師会、区薬剤師会が連携を強化した。
区によると、1月の区内感染者約9600人のうち601人が薬剤師による薬の配達や健康観察を受けたという。自宅療養環境整備担当課の高橋雄貴課長は「健康観察を薬剤師も受け持つことで、保健所や医療機関の負担減につながっている」と話す。
薬剤師が地域医療を支える動きは各地で広がる。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル