社会に存在するさまざまな「境界」の今を探り、問題解決には何が必要か、望ましい境界の未来を模索する連載企画「ボーダー2.0」。北海道胆振(いぶり)東部地震でブラックアウト(全域停電)の中、コンビニ「セイコーマート」のほとんどの店舗を営業した「神対応」で知られる「セコマ」(札幌市)の丸谷智保会長(67)に、ボーダーレスな事業展開のあり方や、2030年の札幌冬季五輪招致などについて聞いた。
――経営者として「境界」と聞くと何を感じますか。
「我々は、『あそこは過疎地だから出店しない』といって自らボーダーを引くことはしません。『すべての人がお客さま』という当たり前のことを大切にしている」
「たとえば、『ザラメ(砂糖)』は一般的に茶色っぽい。ところが、ある地域では黄ザラ(黄色いザラメ)が必要とされる。なぜなら、野菜が乏しいから、常備食としてつくる『たくあん』の黄色い色を出すために黄ザラが求められている。だから店に黄ザラを置く。すると必ず買いに来てくれる」
「数百円のものも積み上がれば大きな利益を生む。我々の事業の本質は、地域とともにあるということです。過疎地に店が一軒もなくなって、うちに頼むしかないからと請われて出て行くのは、これほど小売り冥利(みょうり)につきることはない」
――札幌市は30年冬季五輪・パラリンピック招致をめざしています。一方、1972年札幌冬季五輪は多くの市民の記憶に残っています。二つの五輪に違いを感じていますか。
「50年前の大会と違い、2…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル