埼玉県では、県西部の越辺(おっぺ)川の堤防が複数の箇所で決壊し、流域の高齢者施設や住宅が広い範囲で浸水した。川越市では老人施設の利用者が一時、孤立状態になった。だがあらかじめ職員が総出で高い場所に移動させていたため、犠牲者は出なかった。13日朝から消防や警察が利用者をボートに乗せるなどして救助した。
特別養護老人ホーム「川越キングス・ガーデン」の職員が浸水に気づいたのは13日午前1時ごろ。施設には当時、入居者ら約120人がいた。施設の介護福祉士正木一也さん(45)によると、ゴボゴボという音に職員が気づいた。「玄関などから水が入ってきて水位がどんどん上がった」
12日夕から、川の水位上昇の情報を受け、20人以上の職員が総出で、移動に介助が必要な人を車いすやベッドごと平屋建ての棟から3階建ての別棟へ移動させていた。浸水に気づいた後、残る利用者らも急いで2階へ避難させた。
水は平屋の壁の半分ほどの高さまで上がり、明け方には停電したという。
13日午後5時15分までに救助が完了した。入居者の男性(82)は「体が不自由なので、水位が上がってきているという話を職員から聞くたび不安になった。助けてもらえて本当にありがたく、ほっとしている」と話した。(西堀岳路、山口啓太)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル