近畿大医学部法医学教室で大学の経費が詐取されたとされる事件で、大阪府警は30日、新たに総額約2100万円相当の私物を経費で購入していたとして、元主任教授の巽(たつみ)信二容疑者(66)と元医療機器販売会社員の無職藤戸栄司容疑者(52)を詐欺容疑で再逮捕し、発表した。
府警は2人の認否を明らかにしていないが、捜査関係者によると、2人ともおおむね容疑を認めているという。
捜査2課によると、2人は共謀し、巽容疑者の私物のゴルフ用品や家電などを買ったのに、医療用品を購入したように装った偽の領収書や請求書を近大に提出し、2015年3月~19年2月に35回で計約2100万円を巽容疑者の口座に振り込ませ、だまし取った疑いが持たれている。
巽容疑者は、19年3月まで藤戸容疑者が勤務していた医療機器販売会社(大阪市中央区)を通じて物品を購入していた。藤戸容疑者はほぼ同額の医療用品を買ったとする領収書などをつくり、物品と一緒に巽容疑者に届けていたという。
巽容疑者は物品受け取りの際に代金を藤戸容疑者に払い、領収書などを大学に提出。個人口座へその額を振り込ませていたという。
府警は、巽容疑者が購入した私物は冷蔵庫などの家電製品やゴルフのクラブセット、バッグなど数百点に上るとみている。
会社側は府警の調べに、巽容疑者に指定されて購入した私物のリストをつくっていたと説明した。社長は、虚偽の領収書などが発行されていたことを認識していたと証言しているといい、府警は会社側の関与についても調べている。
大阪地検は30日、約1740万円の大学経費をだまし取ったとして、巽、藤戸両容疑者を詐欺と有印私文書偽造・同行使の罪で大阪地裁に起訴した。
捜査関係者によると、藤戸容疑者は容疑を認め、巽容疑者は当初は容疑を否認していたが、最近になって認め始めたという。
近大法医学教室をめぐっては、府警から依頼された司法解剖の際に検査料を受け取りながら、最終的な鑑定書には結果が書かれていない検査が複数あることが判明している。府警は国費でまかなわれる検査料を水増し請求していた疑いがあるとみて調べている。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル