日産自動車元会長のカルロス・ゴーン被告が海外に逃亡した事件で、弁護人だった弘中惇一郎弁護士らが、事務所を東京地検に捜索されたのは違法だとして、国に損害賠償を求めた訴訟の判決が29日、東京地裁であった。古田孝夫裁判長は「弁護士は押収を拒否できるという刑事訴訟法の権利の趣旨に違反した」と認めた。ただ、地検が職務上尽くすべき注意義務を怠ったとまでは言えないとして、賠償請求は棄却した。
判決によると、地検は2020年1月、保釈中のゴーン元会長が弘中氏事務所で面会した人の記録やパソコンの使用履歴、逃亡を手助けした米国人が残した私物などを差し押さえる目的で、事務所を捜索した。
刑訴法は、他人の秘密を扱うことが多い弁護士や医師などは「押収拒絶権」を持つと定めており、弘中氏事務所の弁護士はこれに基づいて拒否したが、捜索は実施された。
「押収拒絶権」、その範囲は
判決はまず、「秘密」に当た…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル