庄司直樹
日本百名山の一つとして登山客に親しまれる筑波山は、実はサイクリストにも人気が高い。お目当ては、強い足腰が試される「激坂(げきざか)」だ。
霞ケ浦や筑波山周辺を結ぶ自転車道路「つくば霞ケ浦りんりんロード」は、全長180キロ。ほとんどが平らな道だが、枝道として延びる筑波山の峠道は、登坂が楽しめる区間として知られる。
茨城県が自転車ブロガーらを集めて6月に結成した「いばらきサイクリングナビゲーター」を務める篠(しの)さんによると、全長6・6キロの不動峠の坂道が特に有名。比較的短い距離に加えて、ほどよい勾配があり、初心者から、記録計測する上級者まで楽しめるという。さらに標高の高い風返し峠に向かう「十三塚」は、平均勾配が10%を超える急坂。篠さんは「知名度の高い筑波山の坂道は、自転車愛好家にとって一度は登ってみたい場所。ヒルクライムは苦しいけれども、自分の足で進む感じがわかりやすい。成長を楽しめ、充実した時間を過ごせます」と魅力を語る。
自転車競技をテーマにした人気まんが「弱虫ペダル」の作者・渡辺航さんがつくったプロサイクリングチームは、つくば市に拠点を構える。ふだん筑波山周辺を練習場所にしているという。
山の中腹の筑波山神社に向かって、最大勾配が25%を超える激坂中の激坂がある。日ごろママチャリくらいしか乗らない記者(53)も、大学生の息子からクロスバイクを借りて挑戦してみた。
急坂なのは、参道の階段を舗装して道路に変えているためだ。ひたすらまっすぐで、脚を休める所はない。車体がきしみ、ペダルに力を込めると前輪が浮き上がる。全身に汗をかき、悶絶(もんぜつ)しながら何とか登り切った。振り返って坂を見下ろすと、確かに達成感がこみ上げた。(庄司直樹)
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〈筑波山の峠道〉六つの峠道がある。「サイクリング王国」を目指す茨城県は、起終点の距離案内など自転車向け標識の整備を進めており、走りやすい。
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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