サイクリング中に気づいた声 真冬の川に落ちた男性を支えた10分間

東孝司

 真冬の川に落ち、溺れかけていた高齢男性を救助したとして、徳島市消防局東消防署は30日、同市末広3丁目の会社員南真さん(49)に感謝状を贈った。

 署によると、2月16日午後4時過ぎ、県庁北側の中洲町2丁目の新町川で、係留していた船で給油作業をしていた70代男性が誤って川に転落した。

 そのころ、南さんは会社の休日を利用し、マリンピア沖洲から眉山方面へと趣味のサイクリング中だった。「おーい」と助けを呼ぶ声に気づき、自転車を止めたが、周囲を見渡しても人影はなかった。声のする方向へ進み、川岸から下の川面の方をのぞき込むと、男性が係留ロープにしがみつき、溺れそうになっているのを見つけた。

 南さんは岸に設置されていたはしごを下りて男性の体をしっかりとつかむと、通りかかった人に119番通報を要請。救助隊が駆けつけるまでの10分近く、「大丈夫だ」と声をかけながら、男性が沈まないよう体を引っ張り続けた。

 男性は低体温症の恐れもあって病院に搬送されたが命に別条はなかった。

 この日、消防署で感謝状を受け取った南さんは「2週間前に所属する自転車倶楽部のメンバーで人工呼吸などの救命講習を受けたばかりだったので、あの日の行動につながった。おじいさんから『ありがとう』と電話をもらい、涙が出るほどうれしかった」と話した。(東孝司)

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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