山が紅葉に染まるこの時期、地上から1~2カ月遅れて季節が巡る海中では、まだ夏の名残が色濃い。静岡県伊東市のダイビングガイド・川坂秀和さん(43)から連絡をもらい、10月末、同市沖の海中を写真家の堀口和重さん(34)と訪ねた。
ピークは過ぎたが、サクラダイの繁殖が続いているとの情報に、伊東港から漁船で目指すポイント「白根」に向かった。
15分ほどで到着。海底から水深8メートルまでそそり立つ海中の山のような地形のため、水面からは見えない。目印のブイから伸びるロープ伝いにたどり着き、急斜面を水深約30メートルまで潜ると大きな群れに出会った。
オレンジ色の魚体に白い斑点が鮮やかなのがオスで、メスより一回り大きい。活発に泳ぎ回る姿はサクラダイの名前もあって花吹雪を思わせる。
伊豆の海では2年連続して海水温の高いまま冬が過ぎ、死滅回遊魚が越冬するなどの異変が起きている。これからの季節に注目だ。(岡田和彦)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル