サメなのに柔和な「えびす顔」 全国2館だけ展示で御利益あるかも

西堀岳路

 捕獲例が少なく珍しいエビスザメの展示が、福島県いわき市の環境水族館「アクアマリンふくしま」で今月始まった。北海道の標津サーモン科学館から譲り受け、活魚トラックで28時間かけ運んできた。現在、国内で飼育展示しているのはこの2館だけという。サメなのに「えびす顔」なのも珍しく、この名が付いた。

 つぶらな目と厚い下あごのため、柔和に笑っているように見える。昨年、北海道標津町沖で捕獲された3匹のうちの1匹で、体長は約1・6メートルのメス。さらに成長すると3メートルほどになるという。多くのサメは5対のえら穴が、7対あり、背びれも後ろの方に1枚しかない原始的なサメの特徴を残している。科学館では、大きくなりすぎたうえ、同じ水槽内のサケなどを食べてしまうため手を焼いていたという。

 北海道オホーツク海沿岸、相模灘~土佐湾山口県西方沖などで捕獲例があり、水深50~600メートルあたりに生息しているとみられるが、詳しい生態は不明だ。アクアマリンの飼育担当者は「エビちゃん」の愛称で呼んでいる。

 だいたい同じ目線の高さで見た斜め前向きが、最も笑って見える。エビちゃんは深海をイメージした薄暗い水槽内をゆったりと泳ぎ回っているが、意外にこの条件で「笑顔」をばっちり見られるチャンスは多くない。えびす様といえば、商売や漁業の福神。飼育担当者は「笑顔に出会えたら何か御利益があるかもしれません」。(西堀岳路)

Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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