シカの食害から森林を保護するため、森林組合などが国の補助を受けて設置した防護柵を会計検査院が調べたところ、約3分の1が破損していたことがわかった。維持管理が行き届かず、森林に被害が出ていたという。
森林・林業白書によると2021年度の野生鳥獣による森林被害は約4900ヘクタールで、シカによるものが7割を占める。検査院は、北海道や山梨県など19道県の森林組合など143事業者が17~21年度に設置した防護柵(総延長669万メートル、国費約49億円)のうち、623カ所(総延長39万メートル、国費約3億8千万円)の柵を調べた。その結果、約3分の1にあたる213カ所(国費約1億2千万円)が破損し、うち209カ所は点検が長期間行われていないなど維持管理が不十分だったという。
山口県美祢市は、21年度に607メートル(国費約40万円)の防護柵を設置したが、検査院が23年2月に検査したところ、傾いた柵からシカが入り、スギが食害などで枯れていた。検査院は林野庁に対して「防護柵の維持管理の重要性を周知し、適切な維持管理の助言をすべきだ」としている。
林野庁は「検査院の指摘を踏まえて、都道府県に周知していく」としている。(座小田英史)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル