滋賀・岐阜県境にある日本百名山の一つ、伊吹山(1377メートル)。急増したニホンジカによる食害が深刻化しており、滋賀県米原市は貴重な生態系を再生させようと、プロジェクトを進めている。その一環で今月、山頂と5合目にシカ駆除のための大型のわなを設置。本格的な作戦に乗り出した。
伊吹山は、山頂部の積雪が多く、冬に日本海からの強い季節風が吹くことなどから、日本では数少ない山地草原が発達。ルリトラノオやイブキレイジンソウなどの固有植物が分布する。
山頂部には、2003年に天然記念物に指定された「伊吹山頂草原植物群落(通称・お花畑)」があり、約600種が群生している。
だが、米原市によると、温暖化で積雪が減り、猟をするハンターが高齢化したことで、ニホンジカが急増した。植物群が食べつくされて荒廃するなど、植生に大きな被害が出ている。
ニホンジカはどれだけ増えているのか。県の調査では、米原市と隣の長浜市に、20年の時点で約1万8千頭がいると推定。生息密度調査(糞塊〈ふんかい〉調査)の数字は、03年から21年にかけて10倍になっていた。
最近の米原市による目視調査では、伊吹山の山頂で約100頭、5~7合目で約200頭が確認されている。
食害の影響は植物だけではな…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル