ろうの性的少数者を支援する当事者団体「日本ろうLGBTQ+(プラス)連盟」(野村恒平代表)が設立された。東北、関東、九州・中国、沖縄の7団体が連携し、孤立している当事者を掘り起こすことをめざす。
「かつての自分のように、悩んでいる人の力になれれば」
東京都渋谷区の手話教室「手話フレンズ」代表で、連盟の理事を務めるモンキー高野さん(52)は話す。
「国際トランスジェンダー可視化の日」(「国際トランスジェンダー認知の日」とも呼ばれる)3月31日、東京・渋谷駅前。
「私は体は女性ですが、心は男性のトランスジェンダー『FTM』(Female to Male)です」
生まれつき耳が聞こえない高野さんが、幼いころから抱いていた性別への違和感を手話で訴えていた。
高野さんは、家族全員がろう者の家に、戸籍上は女性として生まれた。
3歳のころ、父と銭湯に行ったとき、「なぜ、僕にはおちんちんがないの」と手話で聞くと、「大きくなったら生えてくるよ」と返されたことを覚えている。しかし、成長しても、そんなことにはならず、違和感は続いた。
母は、「女らしくしなさい」とスカートをはくようにすすめたが、小学校卒業まではズボンばかりはいていた。
中学生になると、セーラー服を着なければならなくなった。「なぜなんだろう」と疑問に思いながら、我慢した。もし友達に打ち明けたら、仲間はずれにされると思ったからだ。
高校2年のころ、他校に通う自分と似た雰囲気の人に出会った。卒業後、その人と再会。彼女は、戸籍上は男性で性自認は女性の「MTF」(Male to Female)だとわかった。今は一緒に活動する大切な友人になっている。
就職後もしばらく、高野さんは女性として生き、勤務先では女性用の制服を身につけたり、化粧をしたりしていた。
20歳を過ぎて、思い切って…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル