ジビエ(野生鳥獣害の肉)の利用量が2018年度は1887トンとなり、前年度から16%(258トン)増えたことが農水省の調査で分かった。飲食店でのジビエ人気の高まりが追い風となった。一方、イノシシと鹿の捕獲頭数に対する利用率は9%台にとどまり、一層の販路拡大が不可欠。同省はペットフードへの利用も促す。豚コレラ(CSF)に感染したイノシシが見つかった地域での対策も課題となる。
調査は3回目。利用量全体のうち、飲食店などで食肉として利用された量は1400トンで、全体の7割超を占める。このうちイノシシは426トン(32%増)、鹿は957トン(18%増)だった。同省は「ジビエの人気が高まっている。特にイノシシは豚肉に近いことが受けて、広まり始めている」(鳥獣対策・農村環境課)とみる。
ただ、捕獲頭数に比べると、利用にはまだ余地がある。18年度のイノシシと鹿の捕獲頭数は114万4100頭(速報値)。一方、イノシシと鹿の処理数は10万8736頭(18%増)と伸びているが、利用率換算では9%台にとどまる。
政府は、19年度にジビエ利用量を約2600トンに増やす目標を掲げており、達成に向け、食肉だけでなくペットフードとしての利用拡大にも力を入れる。だが、18年度のペットフードへの利用量は374トンで、前年度とほぼ同じ。食肉利用と比べて、販路が確立されていないのが実態だ。
同省は地方農政局から情報を集め、各地の処理加工施設を訪問するキャラバンを開始した。ペットフードへの利用拡大に向けて、活用できる補助事業を紹介するなどして、取り組みを促している。
豚コレラもジビエの利用拡大の障壁となる。感染した野生イノシシが見つかった地域では、ウイルス拡散を防ぐため、同省は発見現場から半径10キロ以内で狩猟したイノシシの流通自粛を要請。問題なく流通ができるようになるめどは立っていない。
日本農業新聞
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