獲物に吸い付く「グロテスクな口」が化石としてはっきり残っていた――。最も原始的な脊椎(せきつい)動物と言われる「ヤツメウナギ」の化石が、中国にある約1億6千万年前のジュラ紀の地層から発見された。獲物にかみつくことができる歯の構造を持っており、その肉食性から「殺し屋」などの学名が与えられた。
ヤツメウナギは「あご」がない珍しい動物だ。脊椎動物は、あごのあるヒトなどの顎口(がっこう)類と、あごのない円口(えんこう)類に大別され、円口類はヤツメウナギとヌタウナギしか現存しない。5億年ほど前に脊椎動物の祖先から最初に枝分かれし、「生きた化石」として進化を知る上で重要視されている。
今回、中国遼寧省の地層から発見されたのは、ヤツメウナギの化石4点。中国科学院などの研究チームが調べると、体長は60センチを超えた。特徴的だったのは、口がきれいに残っていたことだ。
あごなくてもかみつける歯の構造
丸い吸盤のような口には、ゴロゴロとした角ばった歯が密集。口の中心には、鋭い歯のついた軟骨がついていた。この軟骨がピストンのように前後運動することで、上の歯とうまくかみ合うようになっており、獲物の肉を切り落とす捕食性があったとみられる。
研究チームによると、ヤツメウナギの最古の化石は3億6千万年前のものが残っているが、当時の体長は数センチと小さく、口もあまり発達していなかった。
今回の発見により、恐竜が繁栄したジュラ紀には体格が大きくなり、発達した口で獲物を捕食していたようだ。
化石は2種に分類され、「殺…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル