長野県軽井沢町でスキーツアーの大学生13人と運転手2人が亡くなったバス転落事故は15日、発生から5年を迎えた。事故現場には発生時刻の未明から知人や関係者が訪れ、犠牲者に手を合わせた。午後には遺族が初めて合同で慰霊する。
法政大のゼミの教え子4人が犠牲になった教育評論家、尾木直樹さん(74)は、現場付近に立つ「祈りの碑」に花を手向けた。「同級生や後輩たちの成長した姿を見てギャップを感じ、つらい。5年たち、命の大切さを余計に感じるようになった」と話した。
献花した県警軽井沢署の柏木隆署長は「ご遺族のお気持ちに応えるため、交通事故を減らし、犠牲になる人を一人でも減らすよう取り組みたい」と話した。事故後にバスを引き上げたレッカー会社(長野県小諸市)の男性顧問(82)は、「犠牲者の切なさや無念さを感じる。生きている限りお参りに来ます」と話した。
事故を起こしたバスの運行会社「イーエスピー」(東京都)の高橋美作(みさく)社長(59)は14日夜、「当日と何ら変わらず謝罪の気持ちでいっぱいです」とのコメントを出した。緊急事態宣言発出前の今月7日に献花を済ませたという。(里見稔、田中奏子)
「ちょっと危ないよ」 同僚に伝えたが…
長野県軽井沢町でスキーツアーの大学生13人と運転手2人が亡くなったバス転落事故から、15日で5年。事故は防げなかったのか――。事故を起こした男性運転手と同じツアーの別のバスを運転していた元同僚はいまも、悔やみ続ける。
昨年12月、JR原宿駅の近くの通りに、遠くを見つめる森嶋隆信さん(57)の姿があった。事故当夜以来、約5年ぶりだ。路上に枯れ葉が散らばる光景はあのときと同じ。事故を起こしたバスは、この場所から出発したのだった。
2016年1月14日夜。路肩に止まった白い大型バス2台の近くで、森嶋さんはほかの運転手3人と談笑していた。出発前のいつもの息抜きだ。ツアーのバスは2台。運転手は2人ずつ乗務する。森嶋さんは、事故を起こしたバスとは別のバスの運転手で、2台一緒に出発する予定だった。
談笑しながら、心にひっかかる…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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