科学研究では理論と実験に次ぐ第三の手法であるシミュレーションが近年、注目されている。多くの費用や時間がかかる実験のかわりに、仮想的に実験すれば効率的に結果を出せる可能性があるためだ。この手法を日本に浸透させたのは京の大きな成果といえる。
シミュレーションの導入が遅れていた生命科学では、東京大などが京を使って心臓の活動を分子レベルで再現することに成功。手術や薬が患者の心臓にどんな影響を与えるのかを数値計算で調べ、より良い治療法を事前に探せる。ゲノム医療や抗がん剤の開発につながる発見もあった。
東日本大震災における津波の正確な再現や、ゲリラ豪雨の予測など防災・減災研究にも多く使われた。
自動車分野でも威力を発揮した。走行する車の周りの空気の流れを調べるには特殊な施設を使う風洞実験が必要だが、シミュレーションへの代替が進む。京による精緻な再現は、より安全で高性能な製品開発につながりそうだ。住友ゴム工業は京の成果を生かし、耐久性や燃費に優れるタイヤを平成28年に発売した。
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース