オロロン鳥の名で知られる絶滅危惧種のウミガラス。日本海に浮かぶ北海道の天売島(羽幌町)は、国内唯一の繁殖地だが、一時期、繁殖ゼロが続いた。しかし天敵に襲われにくい営巣地への誘導などが功を奏し、今夏のヒナの巣立ちは近年最多の24羽。10年連続で巣立ちが確認されるまでになった。
拡大する天売島に今年飛来したウミガラス(環境省提供)
離島や海沿いの断崖に集団で巣を作るウミガラスは、かつて道内各地で繁殖が確認され、天売島でも1960年代には約8千羽が飛来したと推定されている。しかし、その後急減し、2002年には13羽しか飛来しなかった。巣立ったヒナも04~07年は0羽。環境省は減少について、餌資源の減少や漁網による混獲、ハシブトガラスといった天敵の存在などが原因ではないか、と推測する。
天敵から巣守る
島内にはかつて、複数の繁殖地があり、地元で保護の取り組みが進められていた。03年からは環境省が、「屛風(びょうぶ)岩」へのウミガラスの誘導に着手した。ウミガラスは春になると南の海から北へ渡るため、屛風岩にスピーカーを設置し、ウミガラスの鳴き声を鳴らし、「仲間がいるよ」とアピール。また集団で営巣する習性があることから、鳥の模型「デコイ」も設置した。06年には飛来数が52羽と増えたが、営巣地は岩の上でハシブトガラスなどに狙われやすいため、繁殖につながらなかった。
拡大するウミガラスの営巣地は、「赤岩対崖」の海面から約20メートルの高さのくぼみにある=環境省提供
そこで同省は、09年から島の…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル