日本スポーツ協会の2019年の調査では、スポーツの現場で、セクシュアルハラスメントを見聞きしたという指導者は約3割に上る。見聞きした指導対象を年齢別でみると、未成年が3割を上回り、成人(大学生年代を除く)よりも多かった。
調査は19年9~10月、同協会に登録された指導者2万8547人を対象に過去5年間に見聞きしたかをオンラインで聞き、2611人(9・2%)が回答した。セクハラの背景についての質問への回答では「指導者の人間性・人格」が90%と高く、「被害を訴えにくい関係や環境」(72%)、「結果主義・勝利至上主義」(45%)が続いた。
日本オリンピック委員会(JOC)が13年に実施した調査では、トップ選手の11・5%が暴力を含むパワーハラスメント、セクハラを受けたことがあると答えた。自由記述では「信頼関係さえあれば問題ない」とする選手も少なくなかったという。
スポーツジェンダー論に詳しい明治大の高峰修教授は「指導者と選手の間には圧倒的な権力差がある。大会への出場など決定権を持つ指導者に選手は受け身になりがちで、セクハラをされても言い出しにくい」と指摘する。
また、合宿や遠征など共有する時間が長いうえ、指導などで身体的接触が多いこともセクハラが起きる一因という。「被害に気づかぬ間に時間をかけて距離を詰められていることもある」
一方で、セクハラに対する取り組みは遅れているという。「多くの競技団体でセクハラは禁止事項になっているが、丁寧なガイドラインなど防止対策があるわけではない。セクハラは起きるという前提に立ち、相談窓口を増やすべきだ」と話す。(黒田壮吉、斉藤寛子)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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