刻々と変わる360度の景色を見ながら食事を楽しめる「回転レストラン」。バブル期に全国で増えたが、近年は相次ぐ閉鎖で絶滅の危機にある。今も残る数少ないレストランでは、回転を絶やすまいと業者や関係者が奔走している。(才本淳子)
バブル期に人気「豊かさの象徴」
エレベーターで地上39メートルへ。最上階に足を踏み入れると、パノラマ写真のような景色が広がった。
京都駅そばのリーガロイヤルホテル京都(京都市下京区)に入るフランス料理店「フレンチダイニング トップ オブ キョウト」だ。店の目玉は料理だけではない。90分かけてドーナツ形の床(直径20メートル)が静かに1回転する。
窓から見えるのは、世界遺産・東寺の五重塔や京都タワーなど。京都の街を囲む低い山を遠くに望み、眼下には新幹線が走る。
1969年に開業した当時は、前身の京都グランドホテルだった。技術スタッフの藤井公生(きみお)さん(72)は「昔は蒸気機関車が走っているのも見えました」。景色もホテル名も変わったが、レストランは回り続けてきた。
関西大の永井良和教授(都市社会学)によると、日本で床が回った最初の施設は、神戸市の六甲山上で57年に開業した「回る十国展望台」(閉鎖)。バブル期に百貨店やホテルで増えて人気となり、回転レストランは最盛期の80年代ごろに30~50カ所に上った。
「高級食材とともに、発展する街の景色が動くのを見下ろして楽しむ。豊かさの象徴だったのでしょう」
だが近年、回転を止める店が相次ぐ。
たとえば東京・赤坂のホテル…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル