タイトル挑む藤井聡太七段、戦型はやや意外な「純文学」

将棋の高校生棋士、藤井聡太七段(17)が渡辺明棋聖(36)=棋王、王将とあわせ三冠=に挑戦している第91期棋聖戦五番勝負(産経新聞社主催)の第4局が16日朝、大阪市福島区の関西将棋会館で始まった。

 棋聖戦第4局、注目の戦型は「矢倉(やぐら)」だった。第1局、第2局は矢倉、第3局は「角換(かくが)わり腰掛(こしか)け銀(ぎん)」だった。今期棋聖戦は矢倉のシリーズとして記憶されるかもしれない。

 将棋の戦法は、まず、「居飛車(いびしゃ)」と「振(ふ)り飛車(びしゃ)」に大別される。飛車を初期配置の場所から早々に左側に振って指す「振り飛車」に対し、飛車を初期配置の場所や筋に居たままにして指し進めるのが「居飛車」だ。

 本局の「矢倉」は、居飛車のうちの主要戦法の一つ。居飛車には他に、「横歩取り」「角換わり」「相懸かり」などがある。

 「矢倉」にも種類があり、互いに金2枚と銀1枚でしっかりと玉を囲い、攻めは飛車角銀桂が担う「相矢倉」や、玉の囲いは簡略化して、素早い攻めを狙う「急戦矢倉」などがある。特に「相矢倉」は、すべての駒を働かせやすいという理由から、「力を発揮しやすい」と話す棋士もいる。

 「矢倉は将棋の純文学」という故米長邦雄永世棋聖の言葉が残るほど、特に昭和期のプロ将棋界では盛んに指され、メインとされた戦法だった。そのころに比べると、現在のプロのタイトル戦では「角換わり」の方が盛んに指され、「矢倉」は主役の座を奪われた感もある。

 という事情があるので、今期棋聖戦のここまでの4局のうち、3局も矢倉というのは、記者にはやや意外な感じがする。ただし、もちろん、両対局者には、「矢倉」を選んだ深い理由があるに違いない。(佐藤圭司)


Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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