岐阜県多治見市のタイルメーカー「杉浦製陶」が、タイル原料と成形技術を生かした置き時計を商品化した。デザインなどを担当したのは若手の女性営業社員3人。燃料高騰などで本業が圧迫されるなか、雑貨を通じてタイルを身近に感じてもらう願いを込めた。
置き時計は、直径9センチ、厚さ2・8センチ、重さ260グラム。丸くて転がるイメージから「Colon(コロン)」と名づけた。
陶土に色をつけ、タイル生産と同じ金型でプレス成形した後に1250度で焼き上げ、金色などに塗装した針とムーブメントを装着して仕上げる。
約500社が出展した9月の「東京インターナショナル・ギフト・ショー」で、アイデアが評価されて「ベスト工場賞」に選ばれた。東京などの雑貨店から引き合いがあり、11月から量産して本格出荷する。
杉浦製陶は1950年創業で、主力は住宅や店舗用の内装タイル。2018年に雑貨事業に乗り出した。岐阜県が全国出荷量の約8割を占めるタイル業界は、風呂のユニットバス化などによる需要減少で、長期的な低迷に入っていた。
雑貨担当は、林航(わたる)社長のほかは、17年に入社したばかりの営業部の渡辺美旺花(みおか)さん(28)だけだった。芸大で陶芸を学んだ渡辺さんは、一輪挿しやフリーカップなどを商品化し、徐々にインテリアショップなどに置いてもらえるようになった。
時計にも挑戦した。これまで…
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル