新型コロナウイルスの感染拡大が、経済的に困窮している人たちを、さらに追い詰めている。減収、内定取り消し、派遣切り。緊急事態宣言が延長され、この春にスタートを切ろうとしていた人ほど痛手も深い。行政の支援は、量もスピードも足りていない。(西村奈緒美、増山祐史、黒田壮吉)
内定取り消され、家計は「もって1年」
仙台市の福祉事務所で働く村上吉宣(よしのぶ)さん(40)は長男(18)と2人で暮らす。長男はこの春に高校を卒業し、観光会社への就職が決まっていた。ところが会社から感染拡大の影響で「見通しが立たない」と言われ、内定取り消しに見舞われた。60万円ほどの貯金を取り崩しながら暮らす。
村上さんは2018年にうつ病を発症し、休職した。昨秋に復職したが、新型コロナウイルスの感染拡大で先行きが不透明になった影響か、緊張や不安を感じることが増え、うつ病が悪化した。遅刻や早退を繰り返すようになり、3月と4月の給与はそれぞれ3割減った。
長男も代わりのアルバイトが見つかっていない。家計は「もって1年」と話す。「ローンを払い終わっていないマンションを売らないといけなくなるかもしれない」
「全国父子家庭支援ネットワーク」の代表として活動し、感染拡大のさなかで生活の先行きへの不安を訴える父子家庭の人たちの電話を、100件以上受けてきた。男性は他者に悩みや不安を打ち明けるのが苦手で、支援に頼りにくい傾向があると改めて感じたという。
「1人10万円の給付はありがたいが、新たな事業を始めるより既存の制度への加算の方が早いはず。ひとり親家庭の生活支援として支払われている児童扶養手当の増額も考えてほしい」と訴える。
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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