タリウム事件で警察が描く「財産目的」 容疑者は黙秘、直接証拠なく

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甲斐江里子 田添聖史

 タリウムで叔母(61)を殺害しようとしたとして、殺人未遂容疑で再逮捕された元不動産賃貸業、宮本一希容疑者(37)=京都市左京区=が黙秘を続けている。大阪府警は状況証拠を積み重ねて「財産目的」の構図を描くが、立証へのハードルを指摘する専門家もいる。4日までの容疑者の勾留期限は10日間延長された。

 事件発覚のきっかけは昨年10月だった。宮本容疑者と飲食した立命館大学3年の女性(当時21)の体調が急変。大阪市の病院に運ばれたが亡くなり、吐いた物などから致死量(約1グラム)を超えるタリウムが検出された。

 府警が容疑者の周辺を調べると、不動産会社を経営していた叔母が2020年7月から意識不明で入院していることも判明し、血液などからタリウムが検出された。叔母に持病はなかった。

「タリウム」「殺人」検索 さらに…

 府警はまず、女子大学生への殺人容疑で今年3月に宮本容疑者を逮捕した。捜査関係者によると、飲食店や大学生の自宅の防犯カメラの映像などから、大学生が体調を崩すまで、容疑者と大学生が2人きりだった可能性が高いと判断。容疑者が事件当日、タリウムについて検索した履歴も残っていたという。

 一方、叔母の事件は約3年前で、防犯カメラの記録は残っていなかった。容疑者のスマートフォンの位置情報から、叔母が体調悪化前に容疑者と会っていた可能性があることはわかったが、親族であり、「決め手」にはならなかった。

 府警はさらにスマホを解析…

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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル

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