新型コロナウイルスの集団感染が起きた大型クルーズ船「ダイヤモンド・プリンセス号」の運航会社の日本法人から解雇された元従業員の男性が、解雇は無効だと訴えた訴訟の判決が29日、東京地裁(伊藤由紀子裁判長)であった。判決は「人員削減をする高度の必要性があった」などとして解雇は有効と認め、訴えを退けた。
判決によると、2020年2月にダイヤモンド・プリンセス号で集団感染が発生。3月以降、米国など各国で、クルーズ船の運航を停止する措置がとられた。
6月、同社はコロナ禍による業績悪化を受けて従業員22人に退職を勧奨し、応じなかった原告男性ら7人を解雇した。
訴訟で原告側は、雇用調整助成金など国の支援策を使って解雇を避ける努力をしなかった、と主張した。だが判決は、「ダイヤモンド・プリンセス号は日本における新型コロナ集団感染の端緒となっていて、信頼回復には時間を要することが見込まれた」などとし、解雇時点で1年程度は売り上げが得られない蓋然(がいぜん)性が高かった、と認定。経費削減など、解雇を避けるための努力をし、解雇対象者の選び方の妥当性も認められるとして、経営上の理由による「整理解雇」が許される要件を満たしていたと結論づけた。
男性は、他の元従業員2人とともに20年8月に提訴。他の2人は昨年12月、会社側と和解した。(田中恭太)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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