大学院生だった16年前、激しい発作に襲われ急性脳炎の重度障害を負った鹿児島市の男性(39)が来月、「チョークアート」の作品展に初出展する。障害との苦闘を続ける中、社会復帰に向けた一歩を踏み出す。
山下直哉さんは、九州大大学院で核融合を研究していた2005年11月、福岡市内の研究室で突然激しいけいれん発作を起こし緊急入院。意識不明の状態は1年2カ月間続き、転院先の鹿児島市内の病院で意識が戻った。「抗NMDA受容体脳炎」だと分かったのは、発症から6年以上たった後だった。
体を守る免疫が自らを攻撃し、発話や手足の自由が損なわれて車いす生活に。大学院を中退し、パイロットになる夢も断念した。退院後は鹿児島の実家で母とふたりで暮らし、現在は訪問による診療や介護、リハビリ訓練を受けている。薬は未開発でけいれん抑制剤を服用する毎日だ。
チョークアートの世界を知ったのは5年ほど前。チョークの形をしている画材のパステルで黒いボードに描き、指先で押して独特の色調を出す。元々絵が好きで「自分にもできる」手軽さに引かれ独学で始めた。手首のスナップは利かなくても、パステルをつまんだ腕を時間をかけて動かして描く。一つの作品に2カ月ほどかかるという。
「作品展に出しませんか」。7月末、自作を紹介していたフェイスブックに書き込みがあった。熊本県宇土市のチョークアート作家、筌元(うけもと)ひとみさん(57)からだった。
筌元さんは、山下さんの作品…
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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