ほうほう弁護士劇場〈6〉特別編「ほうほう家の人々~残された遺言書編」
108歳で大往生した父親が、3人の子どもにあてた遺言があります。でも、それぞれ内容が違ううえ、どれも型破りすぎる体裁で有効かどうかわからない――。ナニワの弁護士たちによる自作自演の「ほうほう弁護士劇場」。今回の動画はドラマ仕立ての特別編で、きょうだい間の遺産相続劇をお伝えします。
スーパーのチラシ、LINEのメッセージ、スマホ動画……。いかがでしたか。いざ「遺言書を書こう」と思い立っても、なかなか難しいものであることがおわかりいただけましたでしょうか。
遺言書って、どう書くの? 正しい体裁や注意点を、詳しく説明します。
今回のお話のテーマは、自分で書いて作る「自筆証書遺言」についてです。遺言書には公証役場で作成してもらう「公正証書遺言」などの方式もありますが、この自筆証書遺言は、紙とペンと印鑑さえあれば作れます。長男にあてた遺言書のように、それこそチラシに書いてもいいのです。非常に手軽な方法のようにも思えますが、様々なルールを守らなければ、無効とされてしまいます。
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たとえば、解説でご紹介したように「吉日」と書いてはダメです。正確な日付を書かなければ有効な遺言書にはなりません。さらに、本文はすべて遺言をする本人の手書きでなければなりません。昨年、法律が改正されて、遺言書に添付する財産目録の部分はパソコンで作成したものなどでもよいことになりましたが、ほかはすべて手書きでなければ無効です。内容が単純で短い遺言であればそれほど苦労はしませんが、財産の種類が多かったり、遺産をあげたい人がたくさんいたりするなどして文章が長い遺言になると、書き上げるだけでも一苦労です。
そのような長い遺言を書くと、うっかり文字を間違えてしまうこともあります。そんなときに間違えた文字をどうやって修正するかにも、きちんとルールがあります。
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遺言書には署名だけでなく、印鑑を押さなければなりません。実印ではなく、認め印でも構いません。弁護士として仕事をしていると、ときどき印鑑のない遺言書を目にすることがあります。亡くなられた方のお考えがきちんと書かれていたものでも、これを法律上の遺言として扱うことはできないのです。
このように、一見手軽に思える自筆証書遺言ですが、紹介した以外にもたくさんのルールを守らなければならず、一概に簡単とは言えないものなのです。せっかく書いた遺言なのに、形式が守られていないから無効、となってしまっては元も子もありません。
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それに加えて、形式的には問題のない自筆証書遺言を作ることができたとしても、その内容が法律上実現できるものなのかどうかという問題があります。お話の中に「猫に遺産を相続させる」という内容がありましたが、法律上の権利は人間を前提としているので、猫に相続させることはできません。
このように自筆証書遺言は、形式と内容の両方にチェックが必要です。自分の意思を確実に伝える遺言とするために、法律の専門家である弁護士にチェックを依頼することを、ぜひお勧めします。
(大阪弁護士会監修)
大阪弁護士会が無料で電話相談
大阪弁護士会の遺言相続センターは、無料で電話相談(06・6364・1205)に応じている。相談時間帯などの詳しい情報は同センターのサイト(https://soudan.osakaben.or.jp/center/igon/index.html
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「残された遺言書編」キャスト
〈出演・脚本〉
法々一郎=堀田裕二弁護士
法々一子=上田智子弁護士
法々次子=高山未奈子弁護士
法々三吉=原英彰弁護士
法々法助(写真・動画)=藤井薫弁護士
ジェニファー(声)=西村久美子弁護士
解説=山田和哉弁護士
脚本=小林寛治弁護士
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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