大阪市天王寺区の天王寺動物園で17日午前10時15分ごろ、メスのチンパンジー1頭が獣舎から園内に逃げ出した。約3時間後に捕獲されたが、獣医師の男性(42)がチンパンジーに顔をかまれて軽傷を負った。園は客を緊急避難させ、終日休園する騒ぎとなった。
市と園によると、逃げたのはチンパンジーのレモン(20歳)。園内の整備工事の騒音などを避けるため、仮の獣舎にいたが、動物用通路の天井にあった20センチの隙間から逃げ出した。
木の上に登っていたところ、午前11時ごろに獣医師が撃った麻酔銃が命中。園の職員らが網などを持って見守ったが、午後1時半ごろに木の上から落下して捕獲された。レモンは指に擦り傷を負ったが、大きなけがはなかったという。
園の入り口では、閉園の掲示を見て帰る親子連れらの姿が多くあった。インターネットで入場券を買って来たという市内の男子大学生(20)は「動物が逃げて休園とは驚きました。入園できず、残念です」と話した。
園の会見によると、レモンは体長約150センチ、体重50キロ。高さ170センチの通路天井の隙間は、仮の獣舎を設計する段階から生じていたという。向井猛園長は「チンパンジーの身体が通るという行動を想定できなかった」と述べた。隙間は全てふさがれたため、18日は通常通り開園するという。
同園では2007年にも、メスのチンパンジーが逃げだし、園内で捕獲された。当時は獣医師が麻酔の投与をする際、鍵のかかっていない扉を開けて逃げたという。(西晃奈、村井隼人、玉置太郎)
Source : 社会 – 朝日新聞デジタル