農林害虫防除研究会などは4日、那覇市で「侵入・移入害虫の現状と課題」をテーマに研究大会を開き、国境を超えてやってくる害虫の水際対策や定着防止に向けて意識を高めた。国内での初発生が確認されたツマジロクサヨトウや、稲を加害するトビイロウンカなどを取り上げた。研究者や農薬メーカーの担当者ら150人が参加し、生態や防除対策に理解を深めた。
農研機構・農業環境変動研究センターは、3日に鹿児島県で初めて報告されたツマジロクサヨトウについて説明した。侵入が警戒されている害虫で、アメリカ大陸が原産。2016年にアフリカ、18年にインド、19年に中国でも確認され、短期間に分布が拡大している。成虫はハスモンヨトウより小さく、アフリカシロナヨトウより大きい。現時点では防除に使える殺虫剤がない。昆虫分類評価ユニットの吉松慎一ユニット長は「ツマジロクサヨトウを含む害虫グループは見分けがつきにくい。DNAを用いた分類が求められる」と話した。
同機構・九州沖縄農業研究センターは、稲害虫のトビイロウンカの薬剤抵抗性について紹介した。ベトナム北部から中国を経由し、九州に飛来する。ベトナムでネオニコチノイド系の成分「イミダクロプリド」に対する抵抗性が発達しており、ネオニコチノイド系の「チアメトキサム」と「クロチアニジン」にも抵抗性を持っていた。対策では、トビイロウンカの吸汁を抑制する品種育成が進んでいる。沖縄県におけるナスミバエの防除対策、ミカンバエの生態なども発表した。
日本農業新聞
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Source : 国内 – Yahoo!ニュース
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