新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、在宅でのテレワークが進み、インターネットを活用したビデオ会議や会員制交流サイト(SNS)の利用が急速に広がっている。その一方で浮上するのが情報流出などのリスクやセキュリティーの課題だ。広島県警のサイバー犯罪対策テクニカルアドバイザーを務める広島大副学長の相原玲二教授(情報工学)にビデオ会議で注意点などを聞いた。
―感染拡大への対策として湯崎英彦知事はテレワークの活用を求めています。
通信ツールを活用すれば複数の人間が離れた場所でも同時に作業ができるなどメリットは多い。例えばビデオ会議のアプリ。会議に参加する人の画面に自身のパソコン画面を表示できる機能があり、情報や資料が分かりやすく共有できる。会議の会話や内容を録音・録画する機能もある。
通信費はかかるが、印刷費や移動コストの削減が期待できる。働き方改革とも相性がいい。まずは「クラウドサービス」から始めるといいのでは。コストもあまり掛からない。
―世界中で利用者が急増しているビデオ会議アプリ「zoom(ズーム)」では会議に乱入者が出ています。対策はありますか。
特定のサービスに限らず情報漏えいなどの危険はある。注意が必要と肝に銘じてほしい。ソフトウエアを使う際、常に最新版に更新することが重要だ。企業側には問題が出ているサービスの使用を制限するなどの対策も欠かせない。県警サイバー犯罪対策課のホームページには最新の犯罪手口を載せている。小まめにチェックしてほしい。
パスワードの設定も徹底すべきだ。クラウドサービスでは、ログインするときにIDやパスワード以外にも認証コードなどを求める「2段階認証」が設定できる。面倒くさがらずに対応してほしい。
―サイバー犯罪に巻き込まれないため、私たちに求められることは何ですか。
SNS上に写真を出すのは、自分の家の前に写真を張るのと同じだが、サイバー空間ではその意識が低くなりがちだ。道路を歩くとき、車に注意するのと同じように考えてほしい。最近はあらゆる機器がインターネットにつながる「モノのインターネット(IoT)」が進展し、IoT機器へのサイバー攻撃が増えている。パスワード設定やソフトウエアの更新で防げる例も多い。初歩的な対策を忠実にしてほしい。
あいばら・れいじ 広島大卒。2001年に同大情報メディア教育研究センターの教授に就任し、17年から副学長。専門は情報工学。15年度から県警のアドバイザーとして最新の情報通信技術(ICT)や犯罪手口について助言している。
Source : 国内 – Yahoo!ニュース