雨宮徹 角詠之
鳥取市の高速道路上で今年7月、自動車部品最大手のデンソー製の燃料ポンプを搭載したホンダの軽乗用車がエンストを起こして停車後、追突され、同乗者が死亡した事故で、ホンダとデンソーの幹部らが20日、遺族の自宅を訪れて謝罪した。
軽乗用車を運転していた兵庫県の50代の男性によると、訪れたのはデンソーの品質サービスにかかわる幹部やホンダの幹部ら4人。両社側から、燃料ポンプの不具合が、男性の車でも起きていたという説明を受けたという。両社側は「このような事故が二度とないよう、ものづくりをする。肝に銘じて真摯(しんし)に対応したい」と話したという。
男性は後部座席に乗っていた80代の父親を亡くし、母親も一時、意識不明の状態に陥った。自身もけがをした。両親が運転することも考え、安全性を重視して購入した車だったという。男性は「信頼して買った車だった。急に暗いトンネルでエンジンが止まりパニックになった。こんな経験は二度と誰にもしてほしくない」と涙ながらに訴えた。
事故前にホンダは燃料ポンプの不具合を理由に4度のリコール(回収・無償修理)を国土交通省に届け出ていたが、男性の車はリコール対象外だった。事故を受けホンダは10月、同じタイプの燃料ポンプのリコールを追加で出したが、3431個がどの車両に取り付けられたか特定できていないとしていた。
男性は取材に、「もっと早くリコールをしてくれたら事故も起きなかったと思う」と話し、「今回のことを肝に銘じて安心安全なものづくりをしてほしい。人の命を預かっているという意識を大切にして、こういう経験をする人がいないよう安全な車を作ってほしい」と話した。
デンソー製の燃料ポンプをめぐっては、国内で八つの自動車メーカーが計19回累計380万台超のリコールを出す事態となっている。
斉藤鉄夫国交相は15日の閣議後会見で「車の安全上、重大な問題と認識している」と述べた上で、バイクにも同種の燃料ポンプが搭載されているものがあることを明らかにし、「リコールが必要な場合は速やかに届け出るよう強く働きかけている」と述べた。(雨宮徹、角詠之)
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Source : 社会 – 朝日新聞デジタル
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